目次

Ⅰ.放電加工とは

「Ⅱ.加工条件の考え方」へ

「Ⅲ.電極の設計方法」へ

11.揺動と電極減寸量 

火花で加工する放電加工では、加工された部分は電極の形状寸法より0.005~1.0mmほど大きくなります。この量は火花の強さで異なり、強い火花ほど大きくなります。放電加工では強い火花や弱い火花を適宜使い分けて加工します。火花が強いほど、加工は速く加工面は粗くなります。

 

一般的には、加工の初期段階の荒加工では“強い火花”、仕上加工の段階では加工面が細かくきれいな“弱い火花”を使用します。しかしながら、“強い火花”を使用した後では、既に電極と金属の間隙が大きくなりすぎていて、“弱い火花“を発生させることはできません。新しく少し大きな電極を作ればよいのですが、コストなどの問題が発生します。

 

ここで考えられた加工制御方法が、”揺動“です。

“揺動”とは、“ゆする”ことを意味しており、電極を“ゆする”加工制御機能です。

“揺動“の使用により、“強い火花”を使用した後でも、電極と金属の間隙を小さくすることができるため、“弱い火花“で加工できるようになりました。

揺動

画像にマウスを移動させると動画が見られます。

また、電極を“ゆする”量を“揺動量”と呼び、この量をあらかじめ見込んで電極を小さく作成します。このように目的の寸法より電極を小さくする量を“電極減寸量”と呼びます。

減寸量