目次

Ⅲ.電極の設計方法

「Ⅰ.放電加工とは」へ

「Ⅱ.加工条件の考え方」へ

3.荒/中仕上/仕上の区分

電極は荒加工用、中仕上加工用、仕上加工用と区分して作成します。

荒電極は、加工形状部において0.1~0.5mm程度を残し、おおよその加工形状が形成されるまで加工することを目的とします。高い加工速度を得るための電極設計が重要となります。すでに切削加工などの前加工において、おおよその加工形状が形成されている場合には荒電極の作成を省略することがあります。

仕上電極は、荒加工などにより、おおよその加工形状が形成された後の加工段階で使用します。要求される加工面あらさや加工精度を得るための電極設計が重要となります。

中仕上電極は、電極減寸量において荒電極と仕上電極の中間として設計される電極であり、必要な場合にのみ作成します。中仕上電極の作成が必要な場合は、第1に、荒電極が加工速度を重視した結果、電極減寸量が大きくなった場合です。大きな電極減寸量では、加工時の形状誤差が大きく仕上電極の負担が大きくなるため、中仕上電極が必要になります。第2に、仕上電極が形状精度を重視した結果、電極減寸量が小さくなった場合です。小さな電極減寸量では加工速度が遅く、荒加工電極による加工後であっても加工速度が遅くなるため、中仕上電極が必要になります。

 

中仕上電極を設ける目安は、荒電極の減寸量/仕上電極の減寸量が4倍以上であり、例として荒電極の減寸量0.3mm、仕上電極の減寸量0.07mmでは4.3倍となり中仕上電極が必要となります。また、このような例において中仕上電極を使用しない場合は、十分な荒加工ができないために仕上電極による加工時間が長くなったり、逆に荒電極で無理な追い込みをすることになり仕上面の不良が発生しやすくなります。

 

  • 荒加工用電極は、加工速度重視
  • 中仕上電極は、荒加工と仕上加工を補う必要がある場合に作成
  • 仕上加工用電極は加工精度、加工面あらさ重視